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第8話 【初めての「とほ宿」…】
さて…せっせと1日歩きつづけて宿に案内された私は、何だかただの民家って感じの佇まいを見せている宿に戸惑っていた。
そして部屋に案内される。
ここはいわゆるユースホステル形式の男女別相部屋の宿だった。後に「とほ」という小冊子がメジャーになる頃にはこの形式の宿は俗に「とほ宿」と呼ばれるようになったのだけれど…
以前にユースホステルも若干だけれど使用した事はあったが、ユース以外でもそういう宿があるのは実は初耳だった。
私はな〜んにも知らないで礼文島に来てしまい、何も知らぬまま宿を予約してしまった訳だ。
まぁ、別に相部屋であること自体に嫌悪感とかは覚えないたちなので、先に宿泊している先客に挨拶をした。
じきに夕食の時間になる。1階にある食堂兼居間のような部屋でみんなで一緒に夕食をとるのだが、ここの夕食を見てびっくりした。
食事の品数とボリュームが半端ではないのだ!おかずにサラダなどを含めて8品以上はあったかも…
なんという食事だろう。食べきれるのかな??
さすがに海に囲まれている島だけあって魚介類が豊富な食事だったし、味も良かった。
後日、聞いた話だと食事がめちゃくちゃ美味い宿ってことでその世界では有名らしかった。
それにしても…食事の数が多い…大体の人が食事をし終わって片づけする頃にも、私は未だにこの食事達と格闘中だった。
基本的によっぽど体調が悪いとか、不味い飯でもなければ残すことが出来ない性格のせいもあるのだが、後ほど人に指摘された癖として、私は食事中に会話をするときに箸を置いてしまう癖があるらしい。
どうも、口の中に食べ物が入っている状態で話が出来ないのだった。
別にそんなにお育ちが好い訳でもないのにね。
従って、どうしても人と話をしながらだとどんどん食事が遅れてしまう…
結局、やっと最後に食事を片付けた時には一人取り残された感じだった。
夕食の後には同じ場所で島の色々なことをオーナーから説明してもらった。
全く予備知識のないままこの島に来てしまった私には初耳なことばかり…
何百種類という高山植物の宝庫で、高い山に登らないと見ることの出来ない花々もここでは標高0mに近いところでも見れてしまうということとか。
別に花なんかには興味の無い私ではあったので、この頃は「ふ〜ん…そうなんだ」って程度だった。
その後何度もこの島に足を運ぶようになった頃にはその世界に引き込まれて結構な知識になってしまっていたが…
結果的には耳で聞くよりも、実際に歩いたりした方がこの島の魅力が分かるってもの。
元々のスケジュールではここには1泊しか出来ない事になっていた。
「もう帰っちゃうの??もったいないよ〜」
その一言で次への予定を変えてその場にとどまる…
美瑛で別れた友人との待ち合わせで翌日には釧路へと向かわないといけなかったのに、気がついたらこの宿に連泊することになってしまっていた。
なんとなく、まだ実感は沸かないけれどこの島の魅力に取りつかれそうにはなっていたんだろう。
花がどうのというよりも(実際、8月はそれほど花が見られる訳でもない)、そこに居合わせた人達に引き込まれたというべきか…
優柔不断と言えばそうだけど、きっとまだ全てを見ていなかったけれど、まだまだいろんなものがあるんだろうという期待感を感じさせる場所であったんだろう。当時は「予感」でしかなかったけど…
でも、本質的にはやっぱ「人」だったんだろうな。
本当にユニークな個性の集まりだった。
年齢層的には20代半ばがメインで、私のような二十歳そこそこだと中でも若い部類に入る。
仕事もせずにずっとここに連泊しているような輩もいたりした。
そんな色んな人達がなかなか出て行かない理由って何処にあるんだろう?ってのも気になって好奇心をそそられたってのもここにとどまらせた理由の1つでもあったのかも。
これまで、ただひたすら移動を繰り返すばかりの旅がメインだった私が、落ち着いて1つの場所にとどまるという旅のスタイルへと変化していくきっかけになった出来事でもあった。
それにしても…ついつい本来のスケジュールを曲げてしまった。
もう釧路での待ち合わせには間に合わない…
きっと彼は釧路で待ちぼうけを食らって戸惑い、そのまま家路へと向かう事だろう。
私は北海道で失跡したことにでもされちゃうのだろうか??
すまん!友よ…
[ 続く・・・
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