| |
|
第7話 【いきなり…歩く!】
さて、礼文島に無事着いた私は予約してあった宿の人の出迎えを受けていた。
噂によると、基本的には協定で客引きは出来ないらしくて『ぼーっ…』とその場で立ちすくんでいた日には気がつくと一人ぽつんと取り残されていることもあるとかないとか…
(現実には『もう宿決まってる??』程度の客引きめいたことはしているけど)
出迎えに来た人は、なんとなく優しそうな感じの兄さんって感じだった。その人がその宿のオーナーだというのを知るのは後日のことである。
でも、『おかえりなさい…』の次の言葉に私は耳を疑った。
『これからコースを歩くって人達がいるんだけれど、君も一緒に歩かないか?』
え?で・でも…用意が。装備が…
今回は旅人らしくなく、街を歩くような格好で旅に出ちゃってるんですけど〜
これまでだったら履き慣らしたスニーカーとかに、お世辞にも綺麗とは言えないシャツとかのいでたちだったのが、今回は何故か知らんが『観光客仕様』だった。
紺色の麻のジャケットにポロシャツ。ジーンズはいいとして、靴が革靴だった…一応、ウォーキングシューズではあるがあんま歩くって感じではない。
こんな格好でも十分歩けるような、お手軽なコースなのだろうか??
私は結局はあんま何も考えずに
『じゃあ…いっしょに歩きます』
一緒にいる人達もなんか歩く格好でないって感じの人もいたし…ヒールの付いた靴とかはいていたり。
でも、これが後ほど悲劇を生むとは思わなかった。私も…きっとヒールの彼女も…
ってな感じで、コースのスタート地点まで車で送ってもらった。
聞いたところによると、宿もフェリーが着く島の南側ではなく北側にあって、車で30分程度かかるとのこと。それを毎日送迎とかしてるのか…大変だな。
これから歩くコースは『6時間コース』と言うらしい。
当時は何にも知らなかったが、これは俗に言う8時間コースの南半分のことを指す。
しかしまぁ…夜行で着いて朝一番のフェリーで着いていきなり6時間も歩くのかいっ!
大丈夫なのかな??とか考える余地も与えられないまま私達は歩き始めることになってしまった。
最初は丘のコース…まぁ大丈夫だな。そして林の中を抜け、私達は断崖絶壁の上に立つ。
ここが俗に言う8時間コースの名物『砂走り』だった。
斜度は40度はあるだろうか??
こんなとこ降りていくのか?
ゆっくり降りていく…靴の中に砂が入っていく。なんかやな感じ。
あ!石蹴飛ばしちゃった…落石注意!!下の人大丈夫かな??
とにかく無事にこの斜面を降りてこられた。
ここから先はずっと岩場が延々と続く道のり…
革靴で来たことを後悔しはじめる…やっぱトレッキングシューズ買おう。
何時間この岩場を歩いただろうか??
靴はだんだん傷ついてきた。ヒールの女の子は大丈夫だろうか??
って見てみたら、案の定ヒールが折れたらしい。あ〜あ…
そして…をいをい!ヒール折り取ってるぞ!根性入ってるなぁ・・・
結局、この岩場は3時間余り歩いただろうか?
やっとゴールにたどり着いた。
足元を見たら、あらら…折角の靴は傷だらけ。
ヒールの女の子といったら…ストッキングも所々破けてるし。
でも、散々な仕打ちを受けたはずなのにみんなの顔は明るかった。
何だかんだといいながらも、初対面の人達ばかりなのに和気あいあいと歩いてたもんな…
そして、宿の車が迎えに来てくれた。
朝に島に着いて、やっと宿にたどり着ける。荷物は先に宿に入っていたけれどね。
とにかく、今日一緒に歩いた人達おつかれさま〜
心地よい疲れとともに車は何10分かかけて宿までやってきた。
車を降りる…
ふと前を見る。
な・なに…この宿!普通のただの家じゃん!
[ 続く・・・
]
|