■番外編その6

   

番外編6
【日本で一番遠い『東京都』】

ある日・・・とある会社に勤めていた頃のお話。
私は上司に呼ばれて、急な出張を命じられた。
場所を聞いてびっくり!
その名は『硫黄島』

ここは東京のはるか南方の沖合いに浮かぶ小笠原諸島の中に入る島の1つ。
まあ普通、小笠原に行くって場合は一般的には父島や母島のことを指すのだけれど・・・
ちなみにその父島までだと、東京から現在はフェリーで25時間余り。
かつて、私も訪れた経験がありましたが、その頃は30時間余りかかりました。

でも、今回は同じ小笠原諸島でも父島や母島って話ではない。
硫黄島はもっと南の方にあったりする・・・
人が定住している島としての最南端は沖縄の南に位置する波照間島だけれど、そこよりも実は南にあったりする。
この中には硫黄島を始めとして北硫黄島と南硫黄島もあるが、南硫黄島が実は日本の領土上では最南端。

ていっても・・・これらは基本的に人が住む島ではないんですが、硫黄島だけは戦後は米軍の基地その後は自衛隊の基地があって、その関連の人たちが一応住んでいたりします。(ちなみに北硫黄島と南硫黄島は完全な無人島)
当然のことながら定期航路なんかもない。

で・・・その時はどうやってそこまで行ったのか??
実は、硫黄島は前述のように現在は自衛隊の基地があるわけで、それに関係する方々以外は居住していないということですから今回の業務のクライアントは防衛庁ということになる。
てなわけで、その島へのアクセスはその自衛隊の手による方法しか基本的にはない・・・

ただ・・・具体的にはどういうことになるわけで??
その点を上司に問いただしてみた。
すると、まずは広島の呉まで行ってくれってことらしい。
そこから、島へ飛ぶ輸送機に乗って行くんだそうな。
う〜ん・・・まじかいなっ!!入間とか厚木とかから飛んでくれるんじゃないらしい。

でもまあ・・・仕事だから仕方が無い。
そういうことで、スケジュールとしては翌日の夕方に呉まで行って1泊した後に翌朝に自衛隊の基地まで出向いて輸送機で硫黄島まで行くということで決まってしまった。

当日、仕事を早々に片付けた私と同僚の計2名で新幹線で広島まで行き、そこから在来線で呉まで行った後にここで1泊。
『明日はどんなことになるんかいなあ??』なんて、同僚とホテルの中でちょっとだけ不安にかられながら缶ビールなんか飲んで早々に眠りについた。

翌朝、呉の自衛隊基地へ出向いて、とうとう輸送機へと乗り込む私達。
これまで、色んな場所に旅行にも行ったし出張もした。
飛行機とかもかなり利用もしたかな?
しかし、今回は同じ空路でもスチュワーデスさんもいない・・・(もっとも普通の飛行機でもコミューター便の小さい飛行機には乗り込まないときもあるが)、周りは自衛隊 の方々ばかりで一般人は私達2名のみ。
別に自衛隊の方々も怖かったりとかはなかったし非常に礼儀正しかったけれど、やっぱ動作とかがきっちりしてるので『私達はここにいてもいいんかいな??』って気はしないでもなかったかな?

さて、呉を飛び立った輸送機は数時間で硫黄島へと到着した。(正確な時間は覚えていません・・・)
降り立ってみると、なんていうかなんもない島・・・ほんと若干の施設がある以外は何も無いって感じ。
まあ・・・戦時中はかなりの激戦地だったとかで、ほとんど跡形も無く爆撃を受けてしまったせいもあるらしい。
その後に米軍が駐留していたこともあり、この島の植物は米国本土のものなどが帰化したものとかもあるとか・・・

それと非常に暑かった。
まあ、場所的には小笠原の父島とかよりももっと南にあって、実はここからだと東京へ行くのもグアムへ行くのもそんなに距離的には変わらないってとこだったりするそうなので、一応は亜熱帯に属するらしいが気分は完全に熱帯でした・・・

ここでの仕事そのものはそんなに時間を要するものでもなかったのであっさりと完了。
で、そのままこの島を堪能する暇もないまま、また輸送機で呉まで戻ることになった・・・

一応は業務の関係上、軍事施設に立ち入ることになるので、勝手な写真撮影とかはいけないだろうってことで写真とか撮って来なかったのはある意味残念ではあったかも。
写真がこのページで公開できたら、それって結構貴重ではあるだろうしね。

ちなみに、この島に常駐したかったら自衛隊に入るか、もしくはこの基地の建設に関わる建設業者の人もいるとかいう話も聞いたのでその関係だと、もしかしたら・・・ってとこか?
単に足を踏み入れたかったら、遺骨収集団にでも入るって手もあるらしい。
あとはこの時の私のようにやっぱ施設関連の企業にいると運がよければいけるかもって感じかな。まあかなり確率は低いけど。

今回の話は島そのものの思い出話ってわけでもない。まあ、思い出ができるほど滞在できなかったけれどね。
行きたくてもそうそう行ける所ではないので『行った事がある』って話だけだけれど貴重ではあるんだろうか??と思って書いてみたりしました。

一応、小笠原諸島は東京都に属する。ということは小笠原諸島に属する硫黄島も東京都。
考えてみると、東京を新幹線で出て広島の呉を通って空路で再び東京に来た事になる。
きっとここが日本国内で一番遠い『東京』なんだろうな。
そして2度とは訪れることはない『東京』でもあるんだろうな・・・多分。

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