■スカウトされる・・・の巻■
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【スカウトされる・・・の巻 (後篇)】 渡されたビールをぐいっと飲んだ私を見た先ほどの我体のいいおっちゃんは言葉を続ける。 『俺は漁師やってるんだけどよー!こうやって仕事終って一杯やるのが楽しみでさ!これが美味いんだよぉ〜』 おっちゃんが手にしていたのはワンカップに入った紫色の液体・・・ 『なんすか?それ・・・』と私。 『焼酎のファンタ割りだわ!がははっ!』 なんじゃそれ?? でも、おっちゃんはこれが楽しみなのだと言う。 結構、北海道では焼酎も飲まれているようで番茶とかで割るのは知っていた。実際に泊まっている宿ではユーススタイルなのでミーティングと称して軽くみんなで一杯やるが、それは焼酎の番茶割りだったし。でも、ファンタで割るのは知らなかったぞ。 ほろ酔い気分なのか、おっちゃんは妙に陽気で饒舌だった。 『にいちゃん!礼文好きか??』 『は・・・はい。』 そりゃそうだ・・・じゃなきゃ毎年毎年夏になると足を運ぶことなんてないわけで。 『じゃあ。島に来ないか?』 へ?どゆこと?? 『いや・・・仕事がないですよ〜』と私。 『漁師やっぺ!そうだそうだ!!』 いきなり漁師のおっちゃん・・・私をスカウトですか??(爆) 『でも・・・おれ、我体よくないっすから・・・』 別に逃げに出た訳じゃない。本当に肉体労働系やるにはか細いというか華奢な身体つきだったのだ・・・わたしは。 こういえば、身体を一瞥して納得して諦めるだろうって読みもあったのだが。 『大丈夫だよぉ!毎日やってりゃ俺みたいな身体になるよぉ!がははっ!!』 ほんとですかい??そりゃ・・・ そのうちにおっちゃんは調子に乗ってきたのか 『ほら!こんなだぜ!!触ってみなっ!』 と二の腕を差し出した。 話の流れだ・・・仕方ない。触ってみよう・・・ 『どーだ!固いだろっ!がっはっはっ!!』 確かにね・・・触らなくてもその二の腕の太さを見れば分かりますよぉ〜。 『すごいですね〜』って私。 『そーだろ!漁師やってりゃ俺みたいな身体になれるって!島に来いっ!!』 はぁ・・・まあそういう人生もいいのかな??なんて、なんか流されそうになる私。 決して一流とまでは言えないけれど、第一線で頑張ってる電子回路技術者じゃなかったのか??おいらは。 でもなあ・・・この稼業は夜中まで仕事してストレスも半端じゃないし・・・当時は一度仕事を区切ってフリーでもいたし・・・ そこまできて、私が拒否の形勢を見せてないことを見透かしたのか、おっちゃんは次の言葉を続けた。 『毎日魚とって、仕事終ったら一緒に焼酎のファンタ割り飲むべ!ストレス皆無だぞ。がはは!』 はぁ・・・? 漁師になるのはともかくとしてファンタ割りまで飲まないといけないのか?(爆) 天気がいい日には船を出して魚をとって・・・夕方に焼酎のファンタ割りを飲む毎日かぁ・・・ いいのか??それで・・・でも、ストレスは技術屋やってるよっかはましだろうなぁ。 ついつい、心が揺れ動いてしまった私。 そんな時に店の戸が開いて宿のヘルパーの女の子が顔を出した。夕食の時間になっても戻ってこないので、多分ここにいるだろうと思って呼びに来たのだった。 そんな感じで、私の漁師へのスカウト話は突然幕を閉じたのだった。 その後、そういう話は持ち上がってきてはいないが、あの時に漁師になっていたらどうなってたかな?ってと時々思うことはある。 ただ、漁師のバイトは北海道で経験して、その後に小型船舶の免許も取ったりもした。 一応、その気なら出来る下地は無いわけじゃないんだな・・・(笑) [ 戻る ] |