■スカウトされる・・・の巻■
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【スカウトされる・・・の巻 (前篇)】 旅が長くなってくると、旅立つときに持ってきた生活用品も底をついてきたりなんかして現地で改めて購入しないといけなくなったりするもの。 そこまでではなくても嗜好品なんかは町で買わないといけないことは多いもの。 これは、礼文島で長々と滞在していた頃のお話。 私が泊まっていた宿は漁港の傍らにあって、数軒の家が並んでいてそれぞれが民宿だったり雑貨屋だったりしていた。 タバコを吸う私は、宿ではタバコを置いていなかったこともあって2軒隣の雑貨屋でタバコを扱っていたので、手持ちがなくなる度にその店へ出かけては購入するということを繰り返しながら、延々 また島に滞在する日々が延びていたのだけれど・・・ 実はこの宿を始めとしたこの界隈は秋田から嫁にやってきた人たちの集落だったりする。泊まっていた宿もそうだった。宿のオーナーのお母さんがそうだったのだが、その人だけかと思っていたらみんな女の人たちが秋田出身だということが分かったのは、その2軒隣の雑貨屋のおばちゃんが教えてくれたからだった。 まあ、そんなことを教えてくれるくらい毎日のように顔を出していれば店のおばちゃんとも親しくなるもので・・・ 店の戸を開けて中に入った途端に 『はい!キャスターマイルドねー』 って言われる始末。挙句の果てには店のウィンドーにお目当てのタバコが無くても店の奥に私専用にカートンが用意してあって、売り切れてるはずなのに私には用意してあったりしていたし・・・ あとはタバコ以外にはたまにビールを買う程度。食料品は賞味期限がやばそうな一品を目にしてから買うことはなくなったけど。 ビールは、お目当ての『サッポロ・クラシック』は置いてないのでその他の銘柄になっていたが・・・ 実は、酒は宿でも買えるしクラシックも置いてあるのだが、定価で仕入れてだから当然高いわけで・・・長居するとその辺節約しないといけなくもあったりってことで。それなら酒なんか飲むなって話もあるけど・・・(爆) その程度で特に店の売上的にはほとんど貢献なんてしていないのだが、道内の人の人のよさなのか非常に愛想よく振舞ってくれていたのだった。 そんなある日… 夕方頃にタバコが切れたなあと気がついて、いつものようにその雑貨屋へと足を運んだ私。 おや?店の中になんか人がいっぱいいるぞ。 店の中では何人かの人たちが一杯やっていたのだった。 まあ、酒屋とかで見られる『立ち飲み』の光景ですな・・・ 一瞬、迷ったというか怯んだ私だけど店の中に入ってみる。 おばちゃんの姿は見えなかった・・・ すると、一杯やってる人のなかの一人が気を使って 『お客さんだよーっ!』 っておばちゃんを呼んでくれた。出てきたおばちゃんは私だというのを確認したらいつものタバコを差し出す。 さて、宿に戻ろうと思ったら・・・ 『にいちゃん!どこからきたんか?』 あ、さっきおばちゃんを呼んでくれた人だ。 『はぁ・・・横浜から来たんですけど〜』 『そうか!俺も昔出稼ぎで横浜にいたことあったんだよ!』 はぁ・・・そうですか。としか返事のしようはない。話の展開がどうなっていくのかまだ読めないから・・・ するとおばちゃんが 『このにいちゃん、毎年のように礼文に来て今回も結構長くいるんだよ〜もう1ヶ月くらいだっけ??』 紹介されちゃったぞ・・・おいおい!<おいら 『そうかそうか!』 なんて妙に我体のいいおっちゃんが言って、すっと立ち上がったと思ったら店の中の酒のディスプレーからビールを取り出して私にすすめたのだった! 『まあ!いいから飲みな!飲めるんだろ??』 『はい・・・いただきます〜』と私。 で、おっちゃんは『いいよな!』っておばちゃんに言った。 てぇことは・・・このビールっておっちゃんの奢りじゃなくて、店のおばちゃんの奢りかいっ!!(爆) おばちゃんは笑いながらいいよと言う。 まあ、人の好意は素直に受け取っておくことにしよう! 私はビールの缶を空けたのだった・・・ [ 続く ] |