■臨時寝台特急『エルム』の悪夢(?!)■

 
  前篇
『旅立ち・・・』
(2001.5.3up)
  中篇 
『兆候・・・』

(2001.5.4up)
  後篇 
『悪夢・・・』
(2001.5.5up)

【後篇 『悪夢・・・』】

やがて、起きたときには空は晴天というほどではないものの明るくなってきていた。
列車は八戸のあたりを走っているらしい。
昨晩の状態は脱して、一応列車は快調に走っているようだ。

やがて青森駅に列車は到着。だが、ここでちょっとしたトラブルが発生。
現在は9時過ぎ。本来ならこの時間だと函館も過ぎてしまってるはず。この列車には食堂車もないので朝食などは函館駅で駅弁などを購入してというはずなのだが 時間帯的にこの駅で朝食を購入しないとならなくなる。

しかし、既にこの駅には駅弁はおろか売店にもめぼしい食べ物類はなくなっていた。
そう、本来は夜半に通過するべき先行の『北斗星』3列車が臨時停車して、その乗客たちが買い漁った後だったらしい。

そんな状態だったので、数少ない弁当類を巡ってホーム上では乗客たちのいざこざが起きていた。
なんて・・・ほんとは一行で言い表せる状態じゃなかったのだけど。
結構、言い争い・・・ちょっとした掴み合いにまで発展しそうだったほどでしたから・・・
『平和主義者』の私(爆!)はこの光景に恐れをなして、自販機でコーヒーやジュースを購入してとっとと車内に戻ることとする。
まあ、昨晩酒のツマミにでもしようと適当に菓子類とか入手していたから、函館までならなんとか持つだろう。
車内に戻ってきたら、下段の彼が

『どうでしたか?』
と聞いてきた。

『かなりの修羅場だったかも・・・(笑)』
と私。
彼は列車が停車したとたんに乗客がどっと出てきたのを見て、ドアの外に行くまでに怖気ついたらしい。

そんな会話の間に列車は青森駅を出発していた。
もう寝台の時間でもないだろうということで、彼は下段のスペースを空けてくれて私もそこに座らせて貰うことなった。
向かいの寝台の方もそのまま下段のスペースで座って自然と誰が始めるというわけでもなく自己紹介とかするようになってきた。

話を聞いたところによれば、私のところの下段の彼はやはり学生で夏休みを利用して札幌に住んでいる友人のところに遊びに行くところだと言う。
向かいの寝台の女性2人は、やはり2人組ではなく別々で一人は千葉の方に住むOLでもう一人は埼玉県内の学生であった。
まあ・・・なんだか分からないけどなかなか目的地に着いてくれないわ、この列車は食堂車はおろか車内販売すらない始末だわってことで暇ではあるし、ってことで しばらくみんなで話をしていた。
青森で食料調達が出来なかったこともあり、お互いに手持ちの食料を分け合ってそれをつまみながら・・・である。
なんだか、移動する列車なのに遭難してしまった気分。ていうか監禁されてる人質??
そんなことを私が話している私。 なにぶんモノが無い状態が続くと気持ちが荒むので、少しはこの状況が和んだんだろうか?

やがて、青函トンネルを抜けて列車は函館の駅へと近づいてきた。
ここで、車内アナウンスが・・・
『函館駅でお弁当の配布を致します・・・』
さすがに函館に着く頃にはもうお昼の時間だし、青森駅であれだけの混乱があったからJRも色々と考えたらしい。
函館駅に列車は到着した。
私が代表して弁当を受け取りに行こうか?と言ったのだが、みんなそれぞれ駅で買い物もしたいということなのでそれぞれで受け取りに行くことになり、 私もお茶とか買った後に車掌室へ・・・
そして車掌さんに

『何人分ですか?』
と聞かれ、私はなぜか

『2人分です』
と答えてしまった。(爆)
戻ってきたとき、みんなは弁当を2つ抱えている私の姿を見て怪訝な表情を浮かべる。
ちょっとこっぱずかしかった感じもしたが、
『いや・・・もしかしたらこの後も何が起こるかわからないじゃん!くれる物は貰っておこうと・・・ガハハ!』
と誤魔化して(?!)、弁当の1つはバッグの中にしまった。

函館駅で配布されたかに飯の駅弁を食べながらまたみんなで会話をするものの、午後に入ってもまだ函館を出て函館本線を走っている列車の状態にみんなも うんざりしてきたのか口数が少なくなってくる。
福島で車掌さんに言われた言葉だが、この列車はあくまで臨時列車。
定期列車が最優先なので、各停だろうが貨物だろうがそっちの方を優先していくのであちこちで止まったりして、もともと遅れていたのにもっと列車は遅れて いくのだった。
まあ・・・なんだかんだともう上野を出て20時間とかいっちゃってるし、ただ寝台だけが並んでいる車内では何をすることもないので、気がついたらみんな寝 転んでしまう始末。仕方が無いので私も本来の上段の寝台に寝転がりぼーっと過ごすしかない。

それでも列車が苫小牧に着く頃には、あと1時間ほどでこの旅も終るという安堵感からか再び4人で下で話をし始める。
これからどこ行くの?
という問いが出る。
私はこのまま今夜の夜行で稚内へ行き、そのまま礼文島へ行くと言う。
千葉のOLさんはそのまま夜行で釧路方面へ向かうらしい。
埼玉の学生の子は小樽まで行くとか。
で、下段にいた学生くんは札幌の友人を訪ねたにも関わらず、今晩はその相手が不在のために札幌市内で泊まる所を探さなきゃいけないそう。
なんか・・・彼、何かを訴える目で私のことを見る。
私は何となく事情は察したのだが・・・どうしてやろうか?

彼は、どうも同席した女の子たちとせめて食事でも…とか思っているらしい。
そのセッティングを俺に委ねたいようだ(笑)
でも、自分はさすがに閉じられた空間で丸1日弱も揺られてきたので一人でぼーっとしたかった。
可愛そうだと思ったりもしたが、仕方ないのでこの無言の訴えは無視することにさせてもらった。
あ〜あ・・・冷たい奴だな。俺って・・・(爆)

列車はやっとの思いで札幌駅に到着した。
このとき既に夕方の6時近く。
本来は12時頃に到着予定なので5時間余りの延着。都合22時間ほどの長旅であった。

駅の改札で特急券を払い戻してそれぞれはいったん駅の外へ。
小樽行きの女性はそのまま小樽行きの列車へ乗り換えて去っていった。
釧路行きの女性も一人旅なのにそのまま『じゃあ・・・』と何処かへ去っていく。
さて、私もぶらぶらするかいねぇ〜
と、思うと視線が・・・
学生くんだった。『どうしよう・・・』と訴えるような目。
とりあえず泊まるとこ探してくださいよ!まだ観光案内所で探せると思うんだけど。
じゃなきゃ、JRに泣きつけば寝るとこくらいは何とかしてくれるでしょうよ。事情を話せば・・・

まあ、宿を探すとこまで位は付き合うかと探す手配をして、彼の無事寝るとこは確保。
でもその後は『ちょっと用事が・・・』ってことで勘弁してもらった。
ふぅ・・・やっと長い移動が終った。一人になったときにやっと実感できた感じがする。
さて、飯でも食いに行くか!
で、夕飯を食った私。あとは夜行の急行『利尻』を待つばかりだった・・・のだが、ふと何かを忘れていることに気づく。

『あ!かに飯っ!!』
そうだった。昼に函館で貰った弁当が1つ残っているんだった・・・
こいつ・・・どうしようか??(爆)


[→
で、カニ飯はどうなったのだろうか?? ]