■臨時寝台特急『エルム』の悪夢(?!)■

 
  前篇
『旅立ち・・・』
(2001.5.3up)
  中篇 
『兆候・・・』

(2001.5.4up)
  後篇 
『悪夢・・・』
(2001.5.5up)

【中篇 『兆候・・・』】

上野を出た『エルム』は大宮に停車した。
ここで何人かの乗客を飲み込んで再び列車は進んでいく。
この駅からは向かいの寝台の乗客が乗り込んできたようだった。

『すみませ〜ん…』 女性の声がした。
そこに女性が2人立っていた。
どうも向かいの乗客らしい。
通路にいた自分がちょっと邪魔だったか。
私は場所を空けて彼女らを通した。

二人一緒だったのでグループなのかと思ったら、お互い会話を交わす訳でもなくそれぞれの寝台にもぐりこんでいった。
別々だったのね…

窓の外を見ると雨が降ってきていた。
このころ、台風とまではいかないものの強力な低気圧が日本列島を覆っていたのだった。
ちょうどこの列車が走る時間帯は東北方面を通過しつつあるという…
まあ、出来れば雨よりは晴れてたほうがいいなぁ…と。でも、夜中の移動中は別に多少降ろうがかまわないし、そんなたいしたこともなさそうな感じに思っていた。

列車は宇都宮に停車する。
まだ時計は夜9時頃。
この後は福島に夜11時頃到着して、12時頃仙台着。 そういう予定だった。

しかし…なぜか福島に行き着く前に黒磯で停車している。
雨脚は強くなってきている気配ではあるけれど、別に列車の運行に支障をきたすほどの降りではないのに。
でも、列車は黒磯を走り出してもスピードは上がらない。
そしてやはり停車の予定のない郡山でもストップしている…

なんか先で事故でもあったんだろうか??
野次馬根性で確かめたい気もするが、わざわざ車掌さんにきくまでもないか…
とりあえず眠くなってきたし寝るか。
私は上の寝台にもぐりこんで眠ることにした。

しばらく眠っただろうか。
もっとも私は夜行列車に乗っているときは眠りが浅くなるので、時々目を覚ましてしまう。
でも、今回はいつもと違う雰囲気で目を覚ましてしまった。
何か静かなのである…
寝台列車だからみんな寝静まっているから静かなのは当たり前って言えば当たり前なのだが。
普通なら車輪がレールの継ぎ目を拾う音とかが適度なリズム感を伴って耳へと届いているはずなのにその音が聞こえない。
列車が動いていない??
この静けさは列車が動いていないからだった。
でもまぁ…どこかに停車してるんだろう…そうだな。
で・・・どこに停車してるんだ?
私は窓の外のホームに目を移してみる。

『…ふ・ふくしまぁ??』
寝る前は郡山だっただろう!
私は時計に目をやった。
時計は午前2時過ぎを指していた。
寝る前は12時前を指していた記憶している。
郡山〜福島はだいたい30分余りで走り抜けてしまう距離である。
だから、なんだかんだと寝る前は30分くらいの遅れだな…と思っていたら、その後全然進んでないやん!
既に2時間遅れである。

列車のドアが開いていたので、私はホームに降りてみた。
そして車掌さんを見かけたので話し掛けてみる。

『いったいどうしたんですか??』
『いや…福島〜仙台間で集中豪雨がありまして。先行列車が徐行と停車を繰り返していますので先に進めないんですよ。』
『先の列車って…北斗星ですよね。』
『ええ、まだ1号も仙台を出たばかりらしいですので…』

え!まだ2時間以上前に出た列車が詰まってるんですかい。

『で、こいつはいつ頃出られるんですか?』
『この列車は臨時なので貨物列車を先行させた後に出発ですね』

はぁ…そうなんですか。
臨時列車ってそういうものなんですねぇ…

私は車内に戻って、再び通路の折り畳み椅子で窓の外を眺めていた。
確かにさきほど車掌さんが言っていた貨物列車が駅に到着した。 そして、その貨物列車が出発してしばらくの時間が経った後に、わが『エルム』も福島を出発。
そこまで1時間以上停車していただろうか?

その後、私はうつらうつらとしていたが列車は相変わらずスピードもあがらず、時々停車を繰り返してはという感じで進んでいく。
ふと、また長い停車だなと思って外を見たら仙台。
この時点で5時前… もう5時間遅れだ。

この先どうなるんだ??
考えても仕方がないか…
私はまた浅い眠りに陥っていったのだった。


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